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とまさほ
JR北海道 快速「ミッドナイト」キハ27系500/550番台
★ドリームカー キハ27-501/502
ミッドナイト用のドリームカーとしてはキハ27-501/502が苗穂工場で改造されました。
元グリーン車用の座席を備え、旅の安全を保障してくれたDMH17Hの音を聞きつつ眠りにつけた人気のクルマでした。
基本的には種車(キハ27 210 217)の原型に近いのですが、後位側にはミニサロンと自動販売機が設けられたため不自然な固定窓ができています。
この写真からわかる個体差として前面すぐ横の乗務員窓の違いがあります。
501は銀サッシがあり、502にはありません。501のこの特徴は全6両中ただ1両のみのものです。
Bトレではこの窓にはがっつり上下サッシモールドがありますので6両分全てこの窓と乗務員窓はコンパウンド掛けをしています。
また乗務員窓には雨どいが設置され、左に垂れ下がっていますが、その長さが501は短く502は長いです。
この短い特徴も501のみですが写真だと非常に判別しづらいです(深緑色の部分の為
前面を見てみましょう。 左501右502。
Bトレのキハ65をベースに窓ワイパー撤去⇒コンパウンド⇒ライト穴、手すり穴をあけて各種パーツ取り付けにより製作。
501も502も「後期型」であるためスカートは共通。TOMIXのキハ58用は形状が違うので改造しました。
大きな違いは貫通扉の窓の大きさ。本来パノラミックウィンドウ車は大窓ですが、JR北海道の大半のキハ56系列は後年細い平窓番台用の扉に交換されていました。501が大窓原型で502が交換済です。
501、502ともに右タイフォン横のステップが裾にあるのが特徴です。放送線ケーブルは501が車体真ん中から出ているのに対して502は裾から出ていました。根元を再現するために金属パイプをかませています。
他には架線注意標記の位置が違いますね。
前面のミッドナイトシンボルは登場時は太かったのですが後年細くなりました。
多分カーペットカーとの区別をするためです。
続いて屋根。ミッドナイトは冷房化の際に冷房は床下に積載されたため冷房準備蓋さえ撤去されすっきりした印象でした。
しかし実は冷房準備蓋の撤去跡がくっきり残っており、列車無線アンテナの位置は多系列よりなお一層ばらばらでした。
Bトレの非冷房屋根を全て平らにしてプラペーパーで撤去跡を自作。このディティール再現はNの作例でも見かけません。
列車無線アンテナは501が左寄りなのに対し502は右寄りでした。ちなみにアンテナ配線は前寄りに短く出ていましたので再現。
側面。左501右502です。ドア以外のモールドを全て消し去り各パーツにて対処。ドアレールは増設。
501と502の共通の特徴として小さな「MIDNIGHT」ロゴと青い「ドリームカー」ロゴが入っていました。
これは自作インレタでカバーしました。車番は新車体で緑色でした。
違いはタブレットキャッチャー保護板。502は残存501は撤去となっていました。501も1998年までは残存していましたが末期になり撤去されたようです。またよく見ると乗務員扉の取っ手の窪みの有無が違います(501窪みあり502窪みなし)
また便所窓の色が違います (501すりガラス 502乳白色)。拡大写真だとわかりやすいかもしれません。
極めつけは妻板側ドア点検蓋付近の欠きとり。501は垂直の珍しい構造で502は通常のナナメです。
反対側。どちらも後位側は平窓と違いブルトレのような楕円洗面所窓になっています。これが面倒でした。
他はトイレ点検蓋や強制外気取入装置の設置など。窓は寒地にするためもちろん天地を縮めています....
強制外気取入装置というのは小さなルーバーです。登場時は前寄りにも存在しましたが後年撤去されています。
余談ですが、ミッドナイトは登場時からはいくつか変更点があり、これはその一つであります。
501左502右。ミッドナイトの妻板です。
今回からGMダミーポケットを本格採用。艶消しブラック塗装の上色入れして保護しています。
さらに汚物処理装置完備。TOMIXの583系用を寒地用にプラ工作でひと手間加え北海道形タイプとしました。
もちろんそのままでは取り付けられないのでBトレ向けにショーティーし構造を変更しています。
妻板は裾の延長と上部の不可解な分割を解消する為切り継ぎ(言葉ではわかり辛いので後述)。
モールドは窓以外全て削り、配電盤やごみ箱用窪みは全てプラバン工作としました。
キハ27には原型で2か所あるジャンパ栓窪みは角穴をあけてちょうど同じ大きさのプラバンをピッタリ填めるという非常に手間のかかる工法としましたが、これが一番実物に近く仕上がるようです。
おかげさまで妻板を作るのに一か月フルで使ってしましました...
細い窪みは501にある一方502では存在しませんでした。また細部の票差しディティールが異なります。
この辺は本当に資料がなくて困りましたが何とか2年ほどVHSをひっくり返してきたり書籍を漁ったりで確実な根拠を見つけました。
妻板もここまでやるとN以上に実物に近くなったのではないかと自負しています。連結したら見えませんが...
★カーペットカー キハ27-551/552
ここからはカーペットカーです。
一時期は指定席を取るのもままならなかったミッドナイト。その火付け役となったのがこのカーペットカーです。
「はまなす」でもその人気が伺えるように、寝台料金なしで横になって旅のできることのメリットは大きかったようです。
はまなすとは異なり仕切りがないので雑魚寝状態。実際はしばしば困ることもあったそんな車輛です。
551と552の改造は五稜郭工場が担当したため他4両と少々趣が異なります。
種車はキハ27 203 (→551) と208 (→552)。551は初期車由来なのでディティールが違ってきます。
552は後期車ですのでキハ27-501/502と共通点も多いですが、カーペットカーは大改造をされているため実は結構異なります。
それでは見ていきましょう。
前面。左が551で右が552です。
初期車と後期車の違いとしてスカートの開口部の大きさが異なります。551は狭く552は広くなっていました。
放送線ケーブルも551はスカートに接続されていました。552は通常通り車体裾に接続。
551も552も放送線ケーブルが出ているのは車体の比較的上部。501と552はほぼ同じ形態ということです。
またジャンパ栓の位置が違います。初期車は2つが寄って配置されていたようです。
更に551とは異なり552の前面窓下手すりは「苗穂手すり」と呼ばれる短いものになっていたという特徴があります。
貫通扉は両車とも平窓用に交換。架線注意標記は551にはそもそも設置されず、552にはありました。
これは552が後になり設置されただけです。登場時は551/552ともにありませんでした。
また、ミッドナイトマーク(右窓下)の太さがドリームカーと異なり太くなっています。
さらに551と552では表示灯掛けに緑がかかるかかからないか個体差がありました。
ステップは501、502と異なり両端ともに同じ高さに揃えられていました。
乗務員室付近の細かいディティールです。
すぐにわかるのはバランサー点検蓋 (乗務員窓下)の有無。552のみが設置されています (下の窪みがないタイプ)
乗務員窓の雨どいは全て降りているタイプ。乗務員扉の取っ手は溝がないタイプでした。
カーペットカーは前よりの客用扉が埋められていますが、その際551は点検蓋が残された一方552は撤去されていました。
屋根です。基本ディティールはドリームカー501/502とほぼ変わりません。
551/552ともに列車無線アンテナは左にわずかにオフセットされていました。
②位側の比較。左501右502です。ドリームカーと比較し前位側の客室扉が閉鎖され小窓が設置されていたことがわかります。
ここは女性専用区画となり更衣室が設置されていたようです。小窓はそのため?
551と552では先述のドア点検蓋残存の有無以外は共通点が多いです。
また客扉付近に「カーペットカー」標記がありました。これはインレタ自作により再現。
551の客用扉「自動ドア」標記が逆さ文字になっているのはミッドナイト車では珍しい特徴でした。(時期により違いあり。
①位側の比較。洗面所窓がすりガラス→551、乳白色→552といった違いがあります。
洗面所窓が楕円形なのはキハ27-100番台平窓後期からの特徴でした。
強制外気取入装置は登場時は設置されていましたが末期は撤去。501/502はなぜか後年前位側だけ撤去されました。
他に、キハ27-501/502、後述の553/554よりもドアレールが各1本増築されています
この写真だと551と552の洗面所窓の違いが分かりやすいと思います。
よく見ると551の後位側点検蓋付近の切り欠きはは552のそれと異なり垂直なものとなっていました。
501でも見られましたがこれは何の意味があるのでしょうかね。
最後に妻板です。左551 右552
ドリームカーとは異なり窓が埋められているのが五稜郭改造車の特徴でした。
Bトレでもすべてのモールドを削り各パーツを新製。
551は初期車なので配電盤横手すりが縦に4本、552は後期車なので3本+上1本という形態差がありました。
また配電盤下手すりやジャンパ栓、ジャンパ栓窪みなどのディティールも大きく異なることがわかっています。
更に551の左側には窪みがありませんが、552には窪みがありました。表示灯掛けの位置も異なりますね。
よく考えると、銘板の配置の仕方がドリームカーと違います(501/502は縦1列)
★増結カーペットカー キハ27-553/554
キハ27-553、554はカーペットカーの増結用に改造された車輛です。
苗穂工場の改造で、初期車のキハ27-201 (→553)、後期車のキハ27-207 (→554) が対象となりました。
ミッドナイト登場から2年後に改造されたためか同じカーペットカーの551/552とはディティールが異なります。
この2両は通常501-553-551と502-554-552のように編成の真ん中に入るのでその顔を見る機会は少ないといえました。
カーペット検査時に先頭になるか、臨時列車の際に顔を見せることになりました。
一方引退は早く、末期のミッドナイトは2連となり中間増結車はドリームカー代替のキハ182-36/37が連結されるようになり
臨時運用に少し入るくらいでひっそりと姿を消していきました。
資料が少ないグループですが執念でなんとかしてみました。
前面です。まず貫通扉が553は平窓用に交換、554は原型となっていました。
架線注意標記の位置も異なります。ミッドナイトロゴも553は表示灯掛けが白色に塗られていました。
553は初期車のためスカートの開口部が狭いです。また放送線ケーブルもスカートにつながれています。
放送線ケーブル自体も553は独特の曲がり方でした。
554は後期車なのでジャンパ栓位置が553と異なります。
501/502同様ステップの右側が裾の緑色の部分に設置されており、これは551/552とも異なる形態でした。
554だけの特徴としてジャンパ栓が白色に塗られていました。なぜ同じ時期の553と合っていないのか......苗穂....
お気づきかと思いますが前面に「553」「554」と番号標記が入るのが何よりの特徴でした。
これはあまり知られていない事実かもしれませんね。個人的には北海道のクルマはこれが特徴のはずなので好きです。
続いて屋根。553と554は基本ディティールこそ各車と同じものの屋根上のハーフガーランドが撤去され、跡が残っていることが特徴でした。これもあまり知られていないのかもしれません。
列車無線アンテナは553は右、554は左に大きくオフセットされているのが印象的です。
気のせいなのか知りませんがガラベンの位置が他の4両とわずかに違うように思います。
1位側側面。左553右554。
このグループの特徴としてミッドナイトロゴが大きい・カーペットカーロゴが省略というものがあります。
また車番は新フォントに代わり国鉄フォントが採用されていました。
551/552と同様前位側扉が閉塞されているものの何故か戸袋窓が残存・洗面所、トイレ窓は撤去。
トイレが撤去された?のか汚物処理装置は撤去されていました。(書きながら気づき撤去しました...)
また前位側裾部には謎のルーバーが存在しており、ドアレールは551/552とは異なり1本のみでした。
前位扉撤去跡のドア点検蓋は2両とも撤去されています。
他にもタブレットキャッチャー保護板が551/552は残存で553/554は撤去されていました。
553、554固有の特徴として乗務員扉ドアノブの溝が553なし554ありとなっていました。
501と554は色々な点で共通点が見られます(前面ステップやドアノブ、前面貫通扉窓など)
554は乗務員扉の「乗務員室」標記も残存していました。他の5両は後年省略されることも多かったので珍しいです。
また553のみサボ位置が高く、ピンク帯より多少上にサボが乗っかるようになっていました。
これは他の5両には見られないものになります。
2位側側面になります。
乗務員扉ドアノブやサボの特徴は先述の通り。2両でATS標記の高さが異なります。
他の4両もそうですが客室扉の自動ドア標記は本当に6両、両側面でバラバラでした。解説は省略するので各車写真にてご確認くださいませ....
妻板。2両とも他の4両と異なり「553」「554」標記が見られました。これは初めて見た時衝撃的でした。
北海道では標準的なこの標記形式ですが、ミッドナイト車はてっきり全車省略かと思っていましたので.....
553は初期車で554は後期車のため手すりやジャンパ栓、窪み位置が大きく異なります。
溝には墨入れなどを施し実車の雰囲気を出しています。銘板の位置が他の4両とも異なり553/554でも異なる様でした。
汚物処理装置がないのが若干間抜けに見えます。
書くのも大変ですが読むのも大変ですね....
もう少しお付き合いください。
★カーペットカー増結グループの違い
ここで一旦551・552グループと553・554グループを整理してみましょう。
できるだけ見やすいよう551と553で比較します。
まずは前面。ナンバーの有無が異なります。
先述のように架線注意標記が入らないのはたまたま551だからです。
次に側面です。
551
・前位側扉を閉塞し女性専用スペース、更衣室を設けた。すりガラス小窓あり。
・トイレは設置したままのため臭気取り窓、洗面所、トイレ窓、汚物処理装置残存
・ミッドナイトロゴ小型・カーペットカーロゴあり
・車番新フォント
・屋根ハーフガランド残存
・トイレ点検蓋残存
・タブレットキャッチャー保護板残存
・ドアレール増設
553
・前位側扉を閉塞したものの戸袋窓は残存。おそらく更衣室はない(?)
・トイレ撤去のため臭気取り窓、洗面所、トイレ窓、汚物処理装置残存
・ミッドナイトロゴ大型・カーペットカーロゴなし
・車番国鉄フォント
・屋根ハーフガランド撤去
・トイレ点検蓋撤去
・タブレットキャッチャー保護板撤去
・ドアレール未増設
妻板です。
手前の551では五稜郭工場改造車なので窓が埋められていました。
このように同じように見えても異なるカーペットカー。
ミッドナイトの本当の面白さは553/554に集約されている気がします。
続いて編成記録についてみてみましょう。
★基本的な編成
ミッドナイトは多客期であっても基本的に専用車の組み合わせは固定でした。
増結の位置や増結の種類などは今後増結車増備の際に記事にしようと思います。
キハ27-501しんがりの編成。
501-553-551の組成で、2両初期車の趣味的に面白い編成。
閑散期や末期は553を抜いていました。
キハ27-502のしんがりの編成。
502-554-552の組成で全車後期車編成。ただし552と554はだいぶ特徴的です。
閑散期や末期は554が脱離。
★キハ182-36/37の増結
2000年3月にキハ400系使用の急行「利尻」「サロベツ」「宗谷」が廃止になり
これまで指定席として連結されていたキハ182-36/37/38は運用を離脱しました。
(彼らの出自はキハ400-141/142/149のお座敷改造によるキハ400不足のため編入改造をしたこと)
職を失ったこの3両のうちキハ182-38は苗穂で最期を迎えましたが、36/37は函館に転属となり
多客期のミッドナイト指定席増結用として使用されるようになりました。
今回はそのうちキハ182-37を製作。ミッドナイト再末期を再現できるようにしました。
過去作の急行「利尻」編成リメイク予定に伴い、実車同様転属改造を行いました。
ベースはTOMIX新金型で改造内容はルーバー取り付けや妻板のジャンパ栓撤去跡の製作などです。
元々札幌に残った38番がモデルの為、37への改造を行いました。
・「SOYA/RISHIRI/SAROBETSU」ロゴインレタの作図・新規製作
・キハ182-38/37で異なる架線注意標記位置を再現
・所属標記を函ハコに変更
・側面方向幕Hゴムを末期の37に合わせ黒色に変更
過去作にしては塗装がうまくいっていたので細かい修正にとどめています。
次は38番を再製作して利尻編成に組み込んであげる予定です(いつとは言っていない
★「くつろぎ」およびそのカーペットカーの増結
旧国鉄からのジョイフルトレイン「くつろぎ」はミッドナイトにもたまに連結されることがありました。
グリーン車のためどちらかというと末期は宗谷急行に連結されることが多かったです。
(初期は改造の都合などで多くのくつろぎ車がミッドナイトに連結された)
またその増備車であるキハ56-551/552はカーペットカーであり、ミッドナイトの増結車や代走としてしばしば連結されました。
過去作としてキロ59-1、キロ29-1、キハ56-551/552は製作していたので、今回やっとその増結がかないました。
★再末期の増結
再末期のミッドナイトはその増結のひどさに磨きがかかり、キハ40/48一般車やキハ143系列を連結していました。
最後のシーズン増結はこれら一般形気動車と国鉄色のキハ56-202/204/211が主に担当していた覚えがあります。
Bトレでは過去作のキハ143と連結してみました。
それでは最後に軽く製作について書いてから終わりにしましょう。
種車はこんな感じです。普通の平窓Bトレを用いました。
詳細は省きますが、妻板もこのようにディティールがいまいちなのでがんばりました。
ヘッドマークはこの3枚のインレタから何とかしています。
キハ400に早く入れてあげたいです。
★こだわりの点
屋根の違い。
前回のキハ56 202の改造時は雨どい位置をオミットしましたが、今回のミッドナイトでは前面パーツの一部を欠き取り、屋根を延長することにより左右側面で違う雨どい位置を再現することにしました。
非常に手間ですがキハ65に比べ狭いおでこなど納得のいく個体差表現ができました。
今回はDMH17HエンジンをKATOから拝借し塗装の上取り付けてみました。
また台車もKATOからキハ56系列用へ改造し、速度検出装置を取り付けています。6両で曲がり方も作り分け。
床下は見えづらいですが非常に楽しい作業でした。